こんにちは、ケイビーカンパニーWEB戦略事業部です。
「飲食店を開業したいけど、失敗しないかどうか不安」
「開業資金はどれくらいかかるのか知りたい」
「飲食店を開業するまでの流れがよくわからない」
そんなお悩みありませんか?
飲食店を開業して、うまく軌道に乗せるためには、開業前からの入念な準備が必要不可欠です。
飲食店開業には、計画的な資金調達、資格取得や届出などの手続きが必要なため、開業までの流れを把握しておく必要があります。また、SNS運用やホームページの作成、Googleビジネスプロフィールの運用などを活用した集客戦略を練り、オープン直後から来客が見込めることで飲食店開業を成功させることができるでしょう。
そこで今回は、飲食店開業に必要な資金、資格、手続き、また開業準備の具体的な流れや失敗させないポイントまで分かりやすく説明していきます。
この記事を参考にしていただくことで、飲食店開業までスムーズに準備を進められるようになります。
飲食店開業の現実と成功するために必要なこと
飲食店の開業は簡単なものではありません。開業した飲食店の半数以上は、オープンから2年以内に店を閉じているという厳しい現実があります。
「昔から料理には自信があるし、いろんな人に自分の料理を美味しいと言ってもらえるのが幸せだから飲食店をやろう!」というワクワクした気持ちだけでは、ほぼ間違いなく失敗してしまうでしょう。
以下のグラフからもわかるように、「日本政策金融公庫」が出している「創業の手引き+」からは約60%の飲食店が軌道に乗せるのに半年以上かかっていることがわかります。
開業からの半年間は赤字経営が続く可能性が多いにあります。オープンから黒字経営をしていけるお店の方が少数派です。
最初からとても厳しいことをお伝えしてしまいましたが、安心してください。
見切り発車ではじめてしまったり、「まあいっか!」と甘い見通しではじめてしまうと後々痛い目を見てしまうかもしれませんが、入念な準備があればオープン後の経営をしっかりと助けてくれます。
具体的に飲食店開業には、以下のような準備が必要です。
- 開業時に必要な資金を正しく知り、きちんと用意する
- 飲食店開業に必要な資格を取得する
- 飲食店開業に必要な届出や手続きをもれなく行う
- 飲食店開業準備の具体的な流れを知る
- 有効な集客戦略を練る
- 経営能力を身につける
それぞれ解説していきます。
飲食店開業に必要な資金はどれくらい?
飲食店開業に必要な資金は、それぞれの状況によるので一概には言えないですが、一般的に用意しておきたい理想の開業資金は約1000万円です。
そこで大事なのは、ただひたすら1000万円を準備するのではなく「自分のお店には、何にどれくらいの資金が必要なのか?」をしっかりと把握し、内訳を明らかにして費用の試算をすることです。
自身の飲食店を開業するにはどれくらいの資金が必要なのかを試算できるように、以下の2つに分けてお伝えしていきます。
- 開業前に必要な資金(イニシャルコスト)
- 開業後に必要な資金(ランニングコスト)
開業前に必要な資金(イニシャルコスト)
飲食店開業前に必要な資金には、以下のようなものがあります。
- 物件取得時の費用
- 店舗の内装や店舗設備、外装にかかる費用
- 広告費
物件取得時の費用
飲食店の店舗にするための物件取得時には、以下のような費用が必要になります。
- 保証金(敷金)
- 礼金
- 仲介手数料
- 造作手数料
- 前家賃
物件取得にかかる費用の予算は、上記を全て合わせて少なくとも家賃の約12カ月分です。家賃20万円のテナントの場合、物件取得時に240万円も必要になることがわかります。
それぞれの費用が実際にどれくらいかかるのか、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
保証金(敷金)
滞納してしまった家賃、物件を損傷させてしまった時の修理費などの債務を保証をするために、契約時に大家さんへ支払うお金のことです。契約終了時に、滞納した家賃や修繕に必要な金額、物件の原状回復に使われる償却金等以外は返金されます。
相場は、家賃の10か月分です。家賃20万円のテナントなら、保証金(敷金)だけで200万円も必要になります。
礼金
大家さんに物件を貸してくれたお礼として契約時に支払うお金のことです。保証金(敷金)と違って、契約終了時に返金されません。
礼金は、関東の物件で請求されることが多いです。請求される場合、相場は家賃の2か月分です。
仲介手数料
物件を紹介してくれた不動産業者へ支払うお金のことです。金額は宅地建物取引業法により「家賃の1カ月分」が上限と決められています。
造作譲渡料
居抜き物件を契約する場合にかかるお金のことです。居抜き物件を契約するには、大家さんとのテナント契約とは別に「店舗資産譲渡契約書」を交わす必要があります。
「店舗資産譲渡契約」とは、店舗の内装や設備、備品などの店舗資産を譲り渡す契約のことです。
前のテナントさんが店舗資産を所有している場合は前のテナントさんと、店舗資産の権利を大家さんに渡している場合は大家さんと契約を結びます。
相場は契約の内容によって異なりますが、無償で譲ってくれる場合もあれば約200万かかる場合もあります。
居抜き物件とは?
前のテナント契約者が使っていた内装や厨房・空調設備、備品などをそのまま引き継いで使うことができる物件のこと。
前家賃
物件の契約時に、初月と翌月分の家賃を前もって大家さんに支払うお金のことです。契約開始月の日割り家賃と翌月の家賃を支払います。
店舗の内装や店舗設備、外装にかかる費用
飲食店の開業には、以下のような内装工事が必要です。
- 床
- 壁紙
- 天井
- トイレ
- 電気ガス水道
- 空調設備
- 照明
- インテリア
店舗設備には、以下のようなものが必要です。
- 厨房機器(冷蔵庫、コンロ、シンクなど)
- 備品(食器、調理器具、ユニフォームなど)
- 設備(テーブル・イス・カウンター・レジ・メニューなど)
外装工事には、以下のようなものが必要です。
- 看板
- 正面のデザイン
- 外構
- 駐車場
- 外壁
上記の費用がどれくらいかかるか知るためには、実際に何が必要か検討した上で各業者に見積もりを依頼するといいです。
見積もりを依頼する業者は1つに絞らず、複数者から見積もりを取り、比較検討してから決めましょう。そうすることで、よりコスパよく内装・外装工事等を依頼することができます。
店舗の内装や外装にかかる相場は、どこまでどれくらいこだわるかによってかなり差が出てくるので一概には言えませんが、大体スケルトン物件では約1,500万円、居抜き物件では約700万円と考えておくといいです。
スケルトン物件とは?
店舗の内装設備がない状態の物件のこと。通常、テナント物件はスケルトン物件であることが多い。コンクリートや配管がむき出しになっていて、店舗としての体裁が整っていない状態で取引される。
広告費
広告費は後述するランニングコスト(開業後に必要な資金)にも含まれますが、開業前にも広告費をかけた方がよりオープンした時の集客効果が高まります。
集客効果を高めるための飲食店開業前の施策には、以下のような方法があります。
- チラシや広告を配る
- 飲食店のポータルサイトに登録する
- 看板を置く
- Googleビジネスプロフィールに登録
- プレスリリースする
- オンライン広告を利用する
- SNSを運用する
- ホームページを作成する
広告費の予算や具体的な方法については、こちらの記事をご参照ください。
オープン直後の集客効果を高めるために、広告費も開業前に必要な資金として用意しておくといいでしょう。
開業後に必要な資金(ランニングコスト)
飲食店開業後に必要な資金には、以下のようなものがあります。
- 運転資金
- 経営者自身の生活費
それぞれ解説していきます。
運転資金
運転資金とは、お店の経営をしていく上で必要になる資金のことです。
具体的に飲食店の運転資金には、以下のようなものがあります。
- 家賃
- 光熱費
- 人件費
- 食材費
- 通信費
- 広告費
開業したばかりの飲食店は売上が安定しないことが多く、赤字になってしまうことも少なくありません。
「日本政策金融公庫」が出している「創業の手引き+」からは約60%の飲食店がうまく軌道に乗せるのに半年以上かかっていることがわかります。
最初の半年間は赤字になる可能性が十分にあるため、資金不足にならないようにオープン時にあらかじめ備えておく必要があるのです。
運転資金の目安としては、オープンから半年間の赤字をまかなえるように粗利益の6カ月程度にあたる資金を用意しておくといいでしょう。
経営者自身の生活費
飲食店を経営する経営者自身とその家族の生活費については、貯金がしっかりとあれば、もちろん心配は入りません。
しかし、今までの貯金を全て飲食店の開業資金に回してしまっている場合、気がついたら自分の生活費が足りない、ということにもなりかねません。
そのため、もしオープンしてからしばらくの間、収入がなかったとしても「自分、または家族でなんとか生活できる」くらいのお金は残しておく必要があります。
家賃や光熱費、食費などはもちろん、子供がいる場合は教育費、また開業に合わせて転居する場合は引っ越し費用などもかかるので意識しておきましょう。
飲食店の開業資金を確保する方法
飲食店の開業資金を確保するには、以下のような方法があります。
- 自己資金を貯める
- 融資を受ける
- クラウドファンディングをする
- 助成金・補助金を活用する
順に解説していきます。
自己資金を貯める
飲食店の開業資金のうち、自己資金の目安は約3割です。開業資金が約1000万円必要だとしたら、約300万円を自己資金で用意しておく必要があります。
残りの開業資金は融資でまかなうことが一般的ですが、融資を受ける前に物件取得費の支払いを済ませる必要があるので、物件取得費にかかる分は自己資金で支払いをすることになります。
自己資金を貯めるには、自身の生活費の支出を減らしたりするなどコツコツ貯めていくしかありません。資金を貯めるための目標と期間を設定して、計画的に貯金をしていきましょう。
融資を受ける
起業したばかり会社や経営者は信用度が低いため、銀行から融資を受けるのはなかなか難しいです。そのため、起業して間もない飲食店の経営者は「日本政策金融公庫」という機関から融資を受けることが多いです。
飲食店の開業資金のうち、金融機関からの借入の目安は約6割です。自己資金がどれくらい用意できるかにもよりますが、開業資金が約1000万円必要だとしたら、約600万円を融資で用意をするといいでしょう。
日本政策金融公庫から融資を受けるためには、以下のような計画を立てて、融資検査官から承認をもらう必要があります。
- 開業する飲食店はどのようなお店か
- 開業資金と運転資金はどれくらい必要なのか
- どれくらいのペースで返済する予定なのか
一般的には、日本政策金融公庫やその他の金融機関から資金調達をすることが多いですが、国や地方公共団体などの融資制度もあるため、併用して利用するというのもありです。
クラウドファンディングをする
クラウドファンディングとは、自分自身のビジネスアイデアをネット上で発信し、賛同してくれた方から資金を集めることです。
賛同してくれた方からの出資額で資金調達ができるのは、宣伝効果もあって魅力的な方法です。その一方で、自身の飲食店の魅力を伝えるプレゼン力やアイデアを拡散する発信力、それらに要する労力や時間的なコストなどが必要になってきます。
決して簡単な方法とは言えないですが、最近は飲食店でもクラウドファンディングでの成功事例が増えてきているので、資金調達の1つの方法として検討するのもいいですね。
助成金・補助金を活用する
助成金や補助金を活用することで、飲食店開業時に必要な資金へあてることができます。
これらを活用する上で注意が必要なのは、給金されることを期待して出費を増やしたり、開業資金が少ないまま計画を踏み切ったりすると結果的に資金繰りが悪化する可能性があることです。
助成金や補助金は給付資格や条件等のハードルが高いため、最初からもらえることを見込んで計画するのではなく、もらえたら資金繰りに余裕ができる、という心構えで利用するのが上手な活用方法です。
それでは、飲食店開業・経営をしていく上で活用できる以下の助成金・補助金について紹介していきます。
- 創業補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
創業補助金
新たに創業をする個人や企業を対象に補助金が給付される制度です。創業補助金は基本的に返済不要なので、返済義務などを気にせずに受けとることができます。
給付金は返済不要ですが、その分給付の条件はハードルが高めです。事業計画書をしっかりと作成し、許可を得ることが必要になります。
無事に許可を得て給付を受けることができれば、事業の可能性を認められたという証になるため、その後は金融機関からも融資を受けやすくなるというメリットもあります。
また、創業補助金は審査から給付まで時間がかかるため、すぐに資金が手に入らないという点には注意が必要です。
創業補助金は各自治体によって、上限額や補助率、募集時期や応募資格、要件、名称などが違うので「創業補助金 〇〇県」「創業補助金 〇〇市」と検索すると、開業する地域の創業補助金について調べることができます。
小規模事業者持続化補助金
中小企業や個人事業主が開業後に利用できる補助金で、販路開拓や生産性の向上に取り組む費用に対して、その一部を支援してもらえる制度です。
補助金を受けるには、補助事業計画書や経営計画書などの提出が必要です。申請期間は決められているため、申請を考えている場合は事前に詳細を確認しておくといいでしょう。
また、計画の作成時や販路開拓を行う際に、商工会議所のアドバイスや指導を受けることも可能です。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者が業務効率化・売上アップを目的にITツールを導入する際の経費を一部補助してもらえる制度です。
具体的には、ソフトウェア費・クラウド利用料・ハードウェア費などが対象になるので、飲食店であれば以下のようなツールが対象となります。
- オーダーシステム
- 予約受付ツール
- セルフレジ
- 在庫管理システム
- 給与管理ツール
- シフト管理ツール
- POSレジ
事業再構築補助金
新型コロナウィルスの影響で営業形態を変えたり、新規事業をスタートしたりする事業者を支援するための補助金制度です。
ただし、2021年以降に創業している場合は対象外となるので、以前から行っている事業がない場合には利用することができません。
以前から事業をしており、コロナの影響でまた新たに事業をスタートするという場合のみ活用することができます。
飲食店開業時のコストを削減する方法
資金調達がうまくいかない場合や、できるだけ資金調達に苦労しなくてもいいようにするために、飲食店開業時のコストを削減するという手もあります。
具体的には、以下のような方法があります。
- 居抜き物件を契約する
- 複数社から見積もりをとって比較する
- 内装などを一部DIYする
居抜き物件を契約する
居抜き物件とは、前のテナント契約者が使っていた内装や厨房・空調設備、備品などをそのまま引き継いで使うことができる物件のことです。
飲食店などの店舗に使用するテナント物件は、通常スケルトン物件といって店舗の内装設備がない状態の物件であることが多いです。コンクリートや配管がむき出しになっていて、店舗としての体裁が整っていない状態で取引されます。
最近は、コスト削減のため居抜き物件が人気になってきている傾向です。
居抜き物件を契約できれば、オープンに向けて内装工事や設備工事をしたり、備品を一から揃えたりする必要がないため、開業のための初期費用を大きく抑えられます。
店舗の内装や外装にかかる相場は内容によって差はありますが、大体スケルトン物件では約1,500万円、居抜き物件では約700万円なので、だいぶ節約できることがわかります。
複数社から見積もりをとって比較する
前述の通り、店舗の内装や店舗設備、外装にはさまざまな費用がかかります。これらについてはほとんどの場合、専門業者に依頼します。
その時に、見積もりを依頼する業者は1つのところに絞らず、複数の業者から見積もりを取りましょう。複数者の見積もりを比較することで相場をつかむことができるため、ぼったくられるリスクは減りますし、より安価で施工してもらえる業者に依頼することができます。
そうすることで、よりコスパよく内装・外装工事をすることができます。
内装などを一部DIYする
内装や店舗設備等はそれぞれの専門業者に依頼するのが一般的ですが、工事費用を節約するために可能な範囲でDIYをするのも手です。
飲食店の店舗でDIYがしやすい箇所は、壁と床のリフォームや照明器具の交換などです。
電気・水道・ガスなどの配管工事は資格がなければできない箇所なので、これらについては業者に依頼をしましょう。
天井吊り下げ式のインテリアや壁付の食器棚など耐久性を要する箇所についても、万が一壊れてお客様に負傷させてしまってはいけないので、DIYは避けた方が良いでしょう。
DIYがうまくできれば節約することができますが、DIYの機材や材料などをそろえたりすると意外と費用がかさむことがあるため、業者に任せた場合の費用とどちらが安くなるのかは確認しておきましょう。
また、DIYをする際にケガをしてしまって医療費がかかったり、開店準備が遅れたりしてしまうリスクもあるため、それらを加味した上でDIYをするかどうか検討すべきです。
資金ゼロでも飲食店開業は可能?
結論からお伝えすると、自己資金0円での開業は「ほぼ不可能」です。
自己資金0円の場合、一般的に金融機関から融資を受けるか、クラウドファンディングをする、もしくは助成金や補助金を利用するしか方法がありません。
しかし、確実にこれらを利用できるという保証はないです。クラウドファンディングでの資金調達は、確実に成功するものではないですし、助成金や補助金も給付される保証がない上に、給付金は後払い(開業後のタイミング)であることが多いです。
融資は受けられない
自己資金0円だと、金融機関から融資が降りる可能性はかなり低いです。
その上、融資の条件としてテナント物件の契約書を求められるため、融資の実行までに物件取得費の支払いは終えている必要があります。
そのため、最低でも物件取得費の支払いができるくらいの資金は必要になります。
親族や知人から借りるのも手
どうしても自己資金0円という状況で、なんとか物件取得費を支払うために、親戚や知人から借りるという最終手段もあります。
しかし、もしお金を返すことができなかった場合、人間関係が悪くなってしまったりするので、あまりおすすめできる方法ではありません。
飲食店開業に必要な資格
飲食店開業には、以下の資格が必要です。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者(収容人数30人以上の場合のみ)
ちなみに、調理師免許は特に必要はありません。今回は、開業時に取得しておく必要がある上記2つの資格について解説していきます。
食品衛生責任者
飲食店では、店舗ごとに食品衛生責任者をおくことが義務付けられています。そのため、食品衛生責任者の資格を取得する必要があります。
食品衛生責任者の資格は、食品衛生責任者養成講習を受けることで取得できます。また、資格に有効期限はないので、飲食店開業を考え始めたら早めにとっておくのがベターです。
受講終了証は食品衛生責任者資格を満たす証明書になるため、飲食店営業許可申請という書類を保健所に提出する際に一緒に提出します。
食品衛生責任者養成講習は、各都道府県の商品衛生協会が行っています。この協会に申込みをすることで受講でき、かかる費用は約1万円です。
講習会は、月に複数回定期的に行われています。会場も複数あることが多いので、自分の都合のいい場所で受けるといいでしょう。
受講内容は、衛生法規(2時間)、公衆衛生学(1時間)、食品衛生学(3時間)です。1日でこれら全てを受講することができます。テストについても、受講内容の確認程度の難易度のため事前に勉強する必要はありません。
また、この資格は食品の衛生管理のために学ぶものなので、すでにそれらの知識があると考えられる栄養士や調理師などの免許、食品衛生管理者の資格がある人、大学などで所定の単位を取得している人などは受講が免除されます。
防火管理者
30人以上を収容できる大きめの飲食店を開業する場合は、防火管理者をおく必要があります。30人に満たない小さな飲食店については、防火管理者は必要ないため、資格を取得したり届出をする必要はありません。
防火管理者には、甲種防火管理者と乙種防火管理者があります。飲食店の場合、延床面積が300平方メートル以上の場合は「甲種防火管理者」、300平方メートル未満の場合は「乙種防火管理者」もしくは「甲種防火管理者」が必要です。
甲種と乙種では、取得するために必要な講習の内容が変わります。計画段階で、どちらが必要か確定している場合は必要な方を取得すればよいですが、まだはっきり分からないという場合はどちらの場合でも対応可能な甲種防火管理者を取っておくといいでしょう。
また、防火管理者は飲食店営業開始までに消防署へ届出する必要があるため、それまでには取得しておきましょう。
取得するための講習は、地域の消防署で受けることができます。乙種防火管理講習は、1日の講習で費用は約7000円、甲種防火管理講習は、2日間の講習で費用は約8000円です。
飲食店開業時に必要な届出や手続き
飲食店開業時に必要な届出や手続きには、以下のようなものがあります。
届出の内容 | 届出先 | 届出期日 | 対象の店舗 |
風俗営業許可申請 | 警察署 | 営業開始の約2ヶ月前 | 客に接待行為を行う店舗 |
労災保険の加入手続き | 労働基準監督署 | 雇用日の翌日から10日以内 | 従業員を雇う店舗 |
雇用保険の加入手続き | 公共職業安定所 | 雇用日の翌日から10日以内 | 従業員を雇う店舗 |
社会保険の加入手続き | 社会保険事務所 | できるだけ早く | 法人の場合は強制加入/個人の場合は任意 |
火を使用する設備等の設置届 | 消防署 | 設備設置前まで | 火を使用する設備を設置する店舗 |
食品営業許可申請 | 保健所 | 店舗完成の約10日前まで | 全店舗 |
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 | 警察署 | 営業開始の10日前まで | 深夜12時以降もお酒を提供する店舗 |
防火対象設備使用開始届 | 消防署 | 使用開始7日前まで | 建物や建物の一部を新たに使用する場合 |
防火管理者選任届 | 消防署 | 収容人数が30人を超える店舗 | 営業開始まで |
個人事業の開廃業等届出書 | 税務署 | 開業日から1ヶ月以内 | 個人事業主として店舗を開業する場合 |
自分の飲食店ではどの届出が必要かを事前にチェックして、計画的に手続きを進めていきましょう。
飲食店開業準備の具体的な流れ
飲食店開業にはたくさんの準備事項があります。時系列にそって、具体的な流れをお伝えします。
飲食店開業準備の具体的な流れ
- コンセプト設計
- 事業計画書の作成
- 物件探し
- 資金調達
- 店舗準備
- 資格取得・各種手続き
- スタッフの求人・教育
- 集客活動
順に説明していきます。
コンセプト設計
飲食店の開業準備を進めていく上で、コンセプト設計は欠かせません。一番初めにコンセプトをしっかりと決め、その内容にそって実際に開業準備を進めていきます。
飲食店のコンセプトとは、お店の特徴や売り、他店とは違う個性を表すものです。コンセプトがなければ、メニューや立地、お店の内容や設備、外装、サービス内容などすべてが決まりません。
また、コンセプトがあいまいなままだと、どのような魅力がある飲食店なのか伝わらず、集客にもつまづいてしまいます。そのため、コンセプトは入念に練る必要があります。
コンセプト設計の手順は、以下の通りです。
コンセプト設計の手順
- お店の業態を決める:カフェ、レストラン、居酒屋、バーなど
- お店の雰囲気を決める:韓国風、ハワイ風、沖縄風、バリ風、北欧風、ホテルライクなど
- それが刺さるターゲットを決める:新宿の20代独身女性、仕事帰りの30代男性など
- ターゲットを集客できる立地、メニュー、営業時間、サービス内容、料金などを決める
このような手順にそって決めたコンセプトをお店の内装や外装、キャッチコピー、広告、スタッフ教育などにも生かしていきます。
事業計画書の作成
設計したコンセプトをもとに、事業計画書を作成していきます。事業計画書とは、事業内容や集客目標、収益目標、融資の借入・返済計画などをまとめた書類のことです。
金融機関から融資を受けたり、補助金・助成金を申請する際の審査において必要となります。申請する際の書類の形式には、決まったものはありませんが「日本政策金融公庫」のこちらの書式を活用するのがおすすめです。
もし融資や補助金制度などを利用しない場合であっても、後から経営難になるリスクを避けるためにしっかりとここで計画を立てておくことが大切です。
収益目標については、家賃、 光熱費、人件費、食材費、通信費、広告費などの費用を売上から引いたら、どれくらいの利益が見込めるのかを把握します。
また、店舗にはどのくらいの席数があり、どのくらいの来客数が見込め、メニューの平均単価からどのくらいの売上が予測できるか、といった内容も、明確な根拠を示して記載します。
物件探し
事業計画書を作成しつつ、物件探しも進めていきます。物件探しは、資金調達よりも先に行う必要があります。
なぜなら、資金調達のために融資を受ける際、家賃や出店場所、店舗業種などについて記載した事業計画書が必要になるからです。
自分の飲食店のコンセプトに合う物件を見つけたら、手付金を払わずに仮押さえをする交渉をして、その後に資金調達をするようにしましょう。
また、スムーズに物件を決めるために、複数の不動産屋に希望の条件について伝えておいて、一気にたくさんの物件情報を集められるとベターです。
物件を契約する時期の目安としては、開業予定日の約8カ月~10カ月前です。実際に物件を借りた後、内装や外装、設備等の工事、資金調達などを行わなければいけないので、これくらい早めに契約を済ませておきましょう。
その後の内装や設備、外装等の工事をスムーズに進めるために、物件探しは施工業者にも同行してもらうといいです。
資金調達
金融機関等で融資を受ける場合は、物件契約と事業計画書の作成を済ませたこのタイミングで資金調達を行います。
飲食店の場合、金融機関からの借入の目安は、開業資金の約6割です。自己資金がどれくらい用意できるかにもよりますが、開業資金が約1000万円必要だとしたら、約600万円を融資で用意するケースが多いです。
一般的には、日本政策金融公庫やその他の金融機関から資金調達をすることが多いですが、国や地方公共団体などにも融資制度があるため、併用して利用するのも手です。
店舗準備
無事に融資を受けることができて資金調達が済んだら、店舗の内装や店舗設備、外装の準備にかかります。それぞれの準備を依頼する業者さんを決定し、工事の依頼をしましょう。
壁や床など店舗準備をDIYする場合は、必要な工具や材料をそろえて、ケガに気をつけながら計画的に進めていきましょう。
居抜き物件の場合は、スケルトン物件よりも比較的準備期間が少なくて済みます。
資格取得・各種手続き
食品衛生責任者や防火管理者の資格取得が必要な場合は、余裕を持って受講申し込みをし、取得をしておきましょう。
各種手続きについても、開業ギリギリでOKのものもありますが、忘れてしまって罰則を受けることになってしまわないように、早め早めに済ませておきましょう。
スタッフの求人・教育
飲食店の開業に合わせて求人をはじめる時期は、オープンの約1カ月前です。早すぎるとスタートまでに期間が空いてしまいますし、直前だと研修が十分にできないので、このくらいの時期がベストです。
ただし、正社員を採用する場合は転職する場合が多いかと思うので、前職からの調整期間を考えて、もう少し早めに(約3カ月前に)求人を出すのがベストでしょう。
求人については、オープンする店舗場所に看板やポスターを設置する、求人サイトや求人アプリなどを利用する、SNSのアカウントをオープン前から開設し、その中でお知らせするなどの方法があります。
採用した方には、オープン前に研修期間を設けます。研修期間のスタートに間に合うようにスタッフの採用を進められるといいです。
ただ、飲食業界は人手不足と言われているので、一定期間を過ぎてもなかなか決まらない場合は、雇用の条件をアップさせるなどの工夫も必要です。
集客活動
飲食店のオープン直後から来客が見込めるように、集客活動も行っておくといいでしょう。
集客効果を高めるための飲食店開業前の施策には、以下のような方法があります。
- チラシや広告を配る
- 飲食店のポータルサイトに登録する
- 看板を置く
- Googleビジネスプロフィールに登録
- プレスリリースする
- オンライン広告を利用する
- SNSを運用する
- ホームページを作成する
集客活動に使える資金を考慮しつつ、自分の飲食店に合った集客戦略を行いましょう。
飲食店開業を失敗させないポイント
前述したように、飲食店には開業したお店の半数以上がオープンから2年以内に閉店しているという厳しい現実があります。
飲食店開業に失敗させないポイントは以下の2つです。
- 有効的な集客戦略
- オーナーの経営能力
具体的にどのような戦略や能力が求められるのかについてお伝えします。
有効的な集客戦略
飲食店開業の失敗とは「なかなか集客ができず赤字が続き、閉店せざるを得なくなること」です。そのため、集客戦略というのは飲食店経営の生命線とも言えます。
飲食店の開業準備はやることがいっぱいあって大変なのですが、その中でも集客戦略は非常に重要なので手が抜けません。
飲食店開業時の有効な集客戦略については前述のとおりですが、その中でも特におすすめな方法として、以下の2つの具体例を紹介します。
SNS運用やホームページの作成、Googleビジネスプロフィールの運用
1つ目の例は、SNS運用やホームページの作成、Googleビジネスプロフィールの運用です。これらは全て連携させ、オープン前からお店の存在を知ってもらうために活用していきましょう。
SNSではオープン後に店内の様子や料理などをアップすることは多いですが、オープン前の準備の様子からアップしていくのもオススメです。
例えば、DIYする場合はその様子だったり、インテリアの小物をセッティングしているところだったり、メニュー作成の様子だったり、お店がだんだんと完成に近づいていく様子をアップしていきます。その様子を見た人はオープンを楽しみにしてくれたり、親近感が湧いて好印象になったりするという効果が高まります。
また、ホームページにはメニューの内容や写真、店内の雰囲気、お店の売りなどを詳しく掲載することで自店ならではの魅力を知ってもらうことができます。ホームページだけでは、なかなか存在に気づいてもらえないかもしれませんが、SNSと連携させ、拡散させることで多くの人に見てもらえる可能性が高まります。
Googleビジネスプロフィールについても、オープン前から登録をしておくことでGoogleマップ上に表示されるので「ここに◯◯という飲食店がオープンするんだ!」というのを認知してもらうことが可能です。
例えば、「渋谷 飲食店」とGoogleマップに入力すると以下のように赤いタグでマッピングされるので、お店の場所と名前などの情報が認知されます。
Googleビジネスプロフィールについては、こちらでさらに詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
プレスリリースをする
2つ目の例は、プレスリリースをするという方法です。プレスリリースとは、TVや新聞、雑誌などのメディアにニュース素材として情報を発表することを言います。
飲食店の場合は、見込み客の方がいる地域に知ってもらえればOKなので、地域の情報誌やラジオ局、ローカルテレビ局などが狙い目です。
プレスリリースには決まった形式はありませんが、郵送やFAXで送ることができるようにA4用紙にまとめるといいでしょう。さまざまな企業がPR TIMESのようなHPでプレスリリースを公開しているので、参考にするとわかりやすいです。
たくさんのプレスリリースの中から採用してもらえるように、お店の売りや特徴が一目でわかるようにしておくといいでしょう。具体的には、お店の場所やオープン日、営業時間などの情報や自分のお店ならではのアピールポイント、SNS映えするメニューなど記載するのがポイントです。
また、取材の要望をすぐに受けられるように連絡先(電話番号と担当者名)も書いておきましょう。
ニュース素材として採用してもらえれば、取材を受けたり記事にしてもらえたりするので、無料にもかかわらず大きな宣伝効果を得ることができます。
もし、オープンの時に取り上げてもらえなくても、また別のタイミングで取材される可能性もあるので、配信しておいて損はありません。
プレスリリースを送る場合は、有料のサービスもありますが、お店の趣旨と合う媒体の連絡先を自分で調べて直接電話したり、郵送またはFAXすることもできます。
オーナーの経営能力
飲食店経営をする上で必要なオーナーの経営能力はかなり重要です。
オーナーの経営能力として、特に以下の2点は欠かせません。
- 目標設定管理能力
- 人間関係調整能力
目標設定管理能力
飲食店の経営をするには、集客目標や収益目標、融資返済計画などをしっかりと立てた上で計画通りに進めていけるように管理しなければいけません。
例えば、収益目標については、家賃、 光熱費、人件費、食材費、通信費、広告費などの費用を売上から引いたら、どれくらいの利益が見込めるのかを把握しつつ、赤字になりそうであれば、何が原因か探り、手立てを講じなければいけません。
また、売上目標に対してどれくらいのスタッフをどれくらいの時間数入れた方がいいのかなども、データを元に計算する必要があります。
目標に向けて計画をうまく進めていくためには、PDCAサイクルを意識しておくといいです。
Pはプラン(計画)、Dはドゥー(実行)、Cはチェック(点検)、Aはアクション(改善)です。特に、開業初期の時期は、売上を安定させられるまでに試行錯誤することになると思います。
上手くいかない場合はそのままにせず、しっかりと原因を探り、改善策を考えて実行してきましょう。
人間関係調整能力
飲食店のオーナーはさまざまな人と関わります。その中で、人間関係調整能力は円滑な経営のために欠かせません。
お店で働いてくれるスタッフの教育もオーナーとして大事な仕事の1つです。現場でのスタッフのサービスはお店の顔とも言えるので、接客に関する教育はかなり重要です。
スタッフへの教育は、オーナーとの信頼関係ができていることによってさらに良いものになります。そのため、普段からスタッフの良いところを褒めたり、感謝の気持ちを伝えたり、大変な時には声をかけたりするなどフォローをしていくことで信頼関係を築きましょう。
スタッフ同士が揉めたり、お客さん同士が揉めたりすることも飲食店では珍しくないので、オーナーとして心得ておくと良いです。
また、食材やお酒などを納品してくれる業者さんとの交渉などの場面では、ぼったくられたり、だまされたりしないように折衝能力も必要になります。
飲食店開業を成功させるには計画性が必須
最初の半年間をうまく乗り越えて、飲食店開業を成功させるには、オープン前までの綿密な計画が必要不可欠です。飲食店の開業に必要な資金、資格、手続きなどを把握した上で、計画的に開業準備を進めていきましょう。
こちらのサイトでは、店舗集客や店舗運営などのご相談を受け付けていますので、飲食店開業についてご相談したいことがありましたら、下記のフォーマットからお気軽にご連絡ください。